no plan

無計画な日々

2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

咽頭癌のおじいさんと、その息子

ある接客業を同じ場所で、かれこれ10年近くやっている。 そうすると避けられないことがある。親しくしていたお客さんがお亡くなりになっていくのだ。高齢者のお客さんが多いので、そういう方を見送ったのは一人や二人ではない。 良く冗談で 「来年の夏までも…

さらば、おくば。

一月ほど前、「レニングラード・ホテル」という舞台作品の稽古に向かう途中、ポロっと奥歯がとれてしまった。 奥歯と言っても、元々の歯はギリギリ土台が残っている程度で、その上に金歯を何とか接着していたのだが、とうとう限界に達したらしい。 「レニン…

核シェルター

生来の人付き合いの悪さと出不精のせいで、私には馴染みの店などほとんどないのだが、上司が呑むのに付き合っていたら、私にも少し常連ぶれる店ができた。 店の名前は居酒屋「一方向」。真っ直ぐに店に直行して欲しいという狙いで命名したそうだ。「一方向」…

芸術鑑賞会

舞台作品で何かと重宝する道具がある。それは机である。 机が小道具であれば、そこはオフィスになり、作業場になり、食卓になり、書斎にもなる。それどころか、机の上に座ったり、机の下に潜ってみたり、机をひっくり返してみたりして、机以外の用途をすれば…

特殊能力者の相談

僕には特殊能力者の友人がいる。 どんな特殊能力かというと、自分から離れた物体を触れずに少し動かすことができるのだ。 例えば、その友人と一緒に呑みに行くとする。立ち上がらないと手の届かない所にメニューがある。友人に頼むと、彼はすっと手の平をメ…

「レニングラード・ホテル」奇譚

首藤康之さん、という稀代の表現者が何を勘違いされてか、僕に舞台の作、演出を依頼してきた。2年前のことだ。首藤さんから、①ショスタコーヴィッチのワルツを使うこと、②東欧のホテルを舞台にすること、③ホテル側の人物を演じること、を提案頂いた。 首藤さ…

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