エディンバラ演劇祭 参加のメリット、デメリットまとめ②
こんにちは。
前回はエディンバラ演劇祭参加のメリット、デメリットまとめ①で、ざっくり収支について書きました。
kazuakimaruyama.hatenablog.com
今回はエディンバラ演劇祭参加に向けて準備すべきことについて、書きたいと思います。
もし、あなたがエディンバラ演劇祭に参加するとしたら、やっぱり成功したいですよね?
エディンバラ演劇祭は、世界中から数千ものショーが昼夜を問わずしのぎを削る、まさに舞台芸術界のレッドオーシャンなので、何も対策を立てないと普通に埋もれます…
では、どのような準備はするべきか?
Edinburgh Festival Fringe (2–26 August 2019) | Edinburgh Festival
準備は一年前からすべし
まず、準備期間をどの程度とるか。
最低でも1年は欲しいですね。次年の劇場予約開始が確か、前年の年末頃から始まります。(2020年に参加するとしたら、2019年の年末ってことです)
可能であれば、劇場を借りて公演する前年に現地を訪れて、事前視察をすると良いと思います。エディンバラの街の規模感、どういうポスター、チラシが目を引くのか、演劇祭の雰囲気、パフォーマンスのレベルなどを実際に自分の肌で感じるのが一番です。
僕達も視察に行き、ついでに軽くストリートパフォーマンスでもやるかあ!と息巻いていたら、周りのパフォーマーのレベルが高くて(普通にあんた、元シルク・ド・ソレイユにいたでしょ!みたいな人沢山います)、これは何か対策を講じないとまずい、と感じました。
high streetを攻略すべし
旧市街の一番の目抜き通り、high street(ハイストリート)を攻略しましょう!
エディンバラ観光のハイライトであるエディンバラ城に辿り着くには、必ずこの通りを通らなければなりません。
なので、沢山の観光客が訪れますし、演劇祭の参加者も大勢ここを街頭宣伝の拠点とします。もう常にハロウィンの渋谷みたいになってます。ハイストリートにいる人をどれだけ劇場に連れて来れるかが、まずは集客の第一段階となります。
つまり、あなたの公演する劇場がハイストリートから、近ければ近いほど、他の参加者に対して優位に立つことができます。
仮にあなたの撒いたチラシや宣伝パフォーマンスに興味を示してくれた方がいたとして、
「ここから歩いて5分の劇場でやってるよ」
と言うのと
「ここから歩いて20分の劇場でやってるよ」
と言うのでは、勝敗は明らかです。
演劇祭開催中のハイストリートは、宣伝の為のパフォーマンス合戦が昼夜繰り広げられます。また、劇場公演の参加者だけではなく、プロの凄腕ストリートパフォーマーが集まるので、注目を得るのは熾烈な競争となります。
では、どのようなパフォーマンスを宣伝の為に準備すべきかを考えてみましょう。
3タイプのパフォーマンスを用意すべし
僕は以下の3つを提案します。
・ブース用パフォーマンス、2分×3作品
・ウォーキングアクト系
・「音」を使うべし
ハイストリートは、ストリートパフォーマーの専用エリアと劇場公演者用の宣伝ブースとに分かれています。前者はガチで投げ銭を稼ぎに来ているので、この二者がかち合わないように、フリンジ側も配慮しているというわけです。
ここで意識すべきは、通りを歩く人達はあなたのパフォーマンスを見るのが目的でそこにいるわけではない、という大原則です。
なので、通りを行く人を立ち止まらせ、短時間で興味を持ってもらわなければなりません。その制限時間はシビアに2分が最長です。
2分のパフォーマンスで、テイストの異なるパフォーマンスを3つ用意して、道行く人の反応を伺いながら、状況に応じてパフォーマンスを変化させてください。あるネタがウケていれば、それを盛ってみたり、ウケが悪ければ、短縮したりするわけです。
そして例えば「笑い」、「驚き」、「美しさ」などパフォーマンスのテーマを意識的に変えて下さい。
ブースでのパフォーマンスの肝は、人が集まった時点でどんどん、チラシを撒いていくことです。人だかりはすぐに消えてしまうので、とにかく人が集まった最大風速時を見逃さないことです。
注意点として、ブースでのパフォーマンスを連発すると、かなり体力を消耗します。ただでさえ、慣れない異国の地、毎日の本番もこなさなくてはならない。しかも、エディンバラの冷たく変わりやすい天候、焦らずペース配分を守ることも大切です。
さて、ブースでのパフォーマンスに加えてウォーキングアクトのパフォーマンスも用意して下さい。要は”練り歩き”です。スローモーションウォークなどができれば、集団で行ってチラシを撒けば、かなり貰ってくれます。須藤元気さんのワールド・オーダーのウォークとか参考になると思います。これなら体力の消耗も抑えられて、コスパ良くチラシが撒けます。
その際、何かパフォーマンスに「音」の要素を加味できると、より注目を集めることができると思います。歌や楽器演奏など「音」で人を惹き付ける意識を持ってください。
日本のお祭りでも、遠くからお囃子が聞こえてきたりすると、何だろう?と行ってみたりしますよね?あれを利用するのです。
専任のマネジメント担当を用意すべし
パフォーマーは、どうしても目の前のお客さんを楽しませることに熱中してしまいます。これはパフォーマーの性です。
なので、パフォーマーの他に冷静な頭でマネージメントを担当する人材を用意して下さい。
そんな人材を雇う余裕ないよ!というのが、大半の方の意見だと思います。僕達もそうでした。でも、あなた達はエディンバラにオファーを勝ち取る為に渡航しているのだという本分を忘れてはいけません。
劇団内に交渉事に長けた人材がいれば、その方の他の仕事の重みを軽減してあげるとか、少しでも対策を立てて下さい。
何故かと言うと、ハイストリートには、各国のフェスのディレクターやバイヤーが沢山フラフラしてます。一枚でも多くの名刺をゲットして、可能であれば食事のアポをとり、あなた方の団体のプレゼンをして下さい。
僕は、U.K国内の他のフェスやポーランド、ノルウェー、イタリア、台湾、フランス、韓国など沢山のバイヤーと名刺交換しましたが、その後のツメが甘くエディンバラではオファーをゲット出来なかったんです。だから、みなさんには是非頑張って欲しいのです!
以上、ざっくりと思いつくままに、エディンバラ演劇祭に参加する為に準備することを書いてみました。今は更にネット戦略やSNSの運用も視野に入れなくてはいけないと思うのですが、アナログ的なフェーストゥフェースの力はエディンバラのような短期集客には、相変わらず有効だと思います。
次回はエディンバラで獲得する星や批評について書きたいと思います。
読んで頂き、ありがとうございました!
それではまた。